2011年8月23日火曜日

熱い笹塚、フェニックスプロジェクト



 日本演出者協会主催「フェニックス・プロジェクト」は東日本大震災被災地の舞台芸術家を支援する事業
と冠が付いている。8月20日(土)が第3回目の開催。

プログラムAが朗読劇「石棺」〜チェルノブイリの黙示録〜(ウラディミール・グバリョフ作 青井陽治訳・演出)。
役者総勢23名、上演時間は2時間40分の大作。秘密主義だと思われていたソビエト共産党が事故発生から1年で
この戯曲を発表したと言う事実は、原発事故に対してかなり真摯な思いでいたかがわかる。
それに比べれば日本の対応はかなりあくどい、というか無知なのではないかと疑ってしまう。とにかくスリリング
でリアルな展開だ。仙台でもやれないものかと思ったが、老練な役者が何人も必要だ。

次いでプログラムBー1。郡山演劇研究会「ほのお」の朗読劇「愛しき福島へ~原発から50キロのまち~」。
この劇団は高齢者の方が多いことにびっくり。仙台でこういう劇団はない。福島の県民のストレートな思いが伝わってきた。
ストレートだが劇団員の男性陣がひょうひょうとしているので雰囲気はやわらかい。

そしてプログラムB-2が私の出演する被災地のアーティスト・トーク「3.11以降の創作の現場」。
福島の劇団ビーホワイト、黒沼辰巳さんと「ほのお」の町聡子さんと私、そして『石棺』を演出した青井さんとでトーク。
この5ヶ月の精神的変化、環境の変化と創作の変化を嘘無く語ってきた。
震災直後のどさくさがやっと落ち着いてきたのかなあというような落ち着いたトークだった。

終わって交流会とライブ。会場には国立劇場芸術監督・宮田慶子さんも。宮田さんとは久しぶりに色んな事を語った。
仙台を気にかけてくれています。必ず仙台に行くとおっしゃってくれました。
もう名刺交換の場でした。今名刺を見ながら顔が浮かばない人も数多あり。いかんな。
そうそう、ARC>T東京会員・大沢佐智子さんとも初めて挨拶を交わした。

ライブは大方斐紗子さん(福島出身)のアカペラに聴き惚れた。
大方さんは昨年の「ウィンドミル・ベイビー」仙台公演の名演が今でも残る。
童謡や「会津磐梯山」で盛り上がり、アンコールに応えて「愛の讃歌」絶唱!!ブラボー!!だった。

東京や関西の演劇人は東北の私たちを気にかけていてくれる。己がこととしても捉えてくれている。
いずれ必ず同じ問題を抱え協働出来る日がやってくることだろう。
その時こそ震災に遭遇したわたしたち東北の演劇人の胆力が試される。


石川裕人(TheatreGroup"OCT/PASS")

0 件のコメント:

コメントを投稿