人来田児童館にて
いつもより短いけど、「小さな演劇を作ろう」をやる。絵本から、演劇を立ち上げる。
チームに別れ、稽古そして上演を見合う。
20名、今日は3チームに別れワーク。
「おおきかかぶ」「ブレーメンの音楽隊」「とりかえっこ」。
先々週、生田恵さんのワークで仕入れたネタを臆面も無く使う白鳥。簡単なアップを済ませ早速稽古。
今日は、様子が違うぞ〜
バタバタしている感じ。照れてるのか、やりたくないのか、元気があるのかわからない、どうも集中していない感じもある。
いや、集中はしてるのか、自分はこれをやりたいとかっていうことはしっかり主張してる。
風邪なのか具合が悪くなった子に引きづられ、小さな男の子が、やる気を失くした感じ。
先生が一緒にやろうと促す。この時、「促さなくてもいいかも…」と思った。
理想は天の岩戸方式で、やっているうちに楽しそうだから、観に来た、やってみた。ってのがいいのだけれどね。
途中そのチームの三年生の女子二名が「やめてもいいですか?」と困ったように確認してきた。
「いいですよ」と答えた。
1チームが崩壊した。劇を作れなくなった。
まだやる気のある何人かは、「おおきなかぶ」チームにまぜてと、すんなり仲間入りした。
稽古時間35分。短い。でも約束は約束だ。一番作りこまれた感のある「とりかえっこ」チームを先に上演。テレながらも演奏を交え、驚くほどのできあがり。
さあ、次は崩壊した「ブレーメンの音楽隊」チーム。それでも前にでてもらった。
もじもじと、なんともいえない時間。さっき、別のチームに見せられた出来上がり、そして自分達はできなかった。
比べたのだ。そして、それでもがんばってやろうとした彼らに拍手をした。
「おおきなかぶ」チームはそういうわけで、大勢のチームになった。
ナレーターにこだわった子もいた。このナレーターはなりたいという子が多い。あまり良いことではないと思う…思うようになった。一つの逃げ場であり、やることがある安心感、高学年の子にとっては、安心なパートなんだろうけど、ナレーターが説明しないで成立するものの方が面白いよなと、考えるようになってきた…。
このあたりは後で振り返ろうか…
演じ終わった子たちを寄せ、僕はいつもは皆から感想を聞く場で、少しお話をした。そうだな、先生みたいだったかも…。ファシリテーターというらしいんだけど、時に、先生としているほうが、いいときもあるような気がする。
皆から簡単に感想を聞きだし次に、こう切り出した。
「間違ってよいんです。これを説明していませんでしたね。作れなくても良いんです。しまったーと思って欲しいんです。でも、どうだった? 作れなくても良かった? みんなの観ててはどうだった?」
「もっとちゃんとやれれば」「くやしかった」そういったかな…。
それでも、いつもだったら、つまらなくなったら人を叩いたり、その場を離れちゃったりする子が、演目観るとなったら、かぶりつきで観ることを盛大に楽しんだり、こういう何かやるときには、僕は参加しないんだって子が、参加
しようと名札のガムテを自らつけたり、いつもなら間違うようなこと場所には近づかないような子が、しまった〜という感想を持ち、そして、それでも、他のチームに参加し、なんとかやろうとしたり…。
小さな小さな変化だったのだと思うのだけれど、児童館の職員や先生は、ちゃんと見ていてくれましたよ。
最後に皆で手をつなぎ大きなわっかになり、相手ではなく、自分を引っ張ろう! そして、それにあわせて「うんとこしょ どっこいしょ」ってやってみようって、急に思いついてやりました。
腹に力のこもる声、身体を使った声、わかって欲しかった。自分で気付けば、少しなにか、嬉しくない?
皆で手をつなぎエネルギーのやり取りをして、「うんとこしょどっこいしょ」。
何気なくやったけど、これいいなって、あとで心にメモしました。
そして、帰りの車ん中で、なお振り返ったのは、俳優が皆に朗読し、絵本を離しちゃうこと。どうも、絵本を持ったままだと、絵やストーリーに囚われすぎちゃって、ただただなぞっちゃうのね。だから、読んで、あとは見ないで、どんな話だったか思い出して、それで、自分達なりに勝手に作っちゃえる環境作っちゃえばいいんだと…これ、やってみたいなあ…このワークの理想かもしれません。今日だって、同じ演目そうやって、作っていったら、三者三様の「おおきなかぶ」が出来上がったかもしれません。
でも、やらなくなったのも含め、三演目ともよかった。やってよかったねと思います。
OtoOpresents 白鳥英一