2012年2月23日木曜日

《世界劇場会議 国際フォーラム2012》を聴講してきました

2月11日(土祝)。
愛知芸術文化センター12F アートスペース。
《世界劇場会議 国際フォーラム2012》を聴講してきました。
http://www.itc-nagoya.com/forum/2012/program.htm


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

【Session 2】「劇場文化」の見えない被災と復興のプロセス
「建築、劇場、活動を被災地の視点から読み解く」
未曾有の大震災によって劇場も甚大な被害を受けながら、少しずつ復旧の過程を歩みつつある。
表面的には見えにくい劇場文化の被災を振り返りながら、建築、劇場、活動の視点からそのプロセスと様々な課題を捉える。
「文化被災」の観点から震災直後から被災地のフィールドワークを重ねる建築評論家・五十嵐氏、
震災後早期に再開した仙南芸術文化センター所長・水戸氏、
ARC>Tから鈴木氏が講師として、人が集まる場としての「劇場の役割」をあらためて捉え直します。
◆講師
 五十嵐太郎(東北大学大学院工学研究科教授)
 水戸雅彦(仙南芸術文化センターえずこホール所長)
 鈴木 拓(Art Revival Connection TOHOKU事務局長)
■コーディネーター:坂口大洋(仙台高等専門学校建築デザイン学科准教授)


【Session 4】「公共劇場のゆくえ」
各セッションのコーディネーターを中心としてそれぞれに議論されたことを横断的に話し合い、公共劇場の方向性を探る。
特に、劇場法をにらんだ運営のあり方、日本版アーツカウンシルのあり方などを題材に、全員参加で熱い議論を繰り広げる。

◆講師
 衛 紀生(可児市文化創造センター館長兼劇場総監督)
 坂口大洋(仙台高等専門学校建築デザイン学科准教授)
 草加叔也(空間創造研究所代表)
■コーディネーター
 中川幾郎(帝塚山大学大学院法政策研究科教授)

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


以下、主に【Session2】の個人的な感想です。

Session2でのテーマは「震災を経て劇場のあり方がどのように変わるのか」。
"生きるに寄り添うアート" "アートを提供する場としての劇場"ということを軸に、
震災を被災地で経験された講師の方々から、とても切実な話が展開された印象を持ちました。


"町に暮らす1割の人(=舞台芸術に興味のある人)が、町の劇場に足を運んでいる"
という公共劇場の実体が全国的にあるようです。

人は誰でもアートに触れたいという根源的な欲求を持ち合わせているだろうに、
何故、劇場にリンクする人は限られているのか。
このことは、いま、日本における公共劇場が抱える課題のひとつのようです。


そんな現状がある一方で、震災時、被災地では劇場が避難場所となり、

・人が集まる場としての機能を発揮した。
・劇場空間(ロビーや楽屋周辺)が瞬間的に集合住宅化した=空間が読み替えられた。
・普段劇場に足を運ばない人たちが、避難場所である劇場にやって来た。(情報収集や生活の為に)
・震災後のアウトリーチ活動の場として機能し、ストレッチ/マッサージ/対話/演劇の無料公演等を実施。それを求めた人がたくさんいた。

など「地域の人たちに開かれた場」として、劇場が存在し、頼りにされたそうです。

震災後、ARC>Tに近い地域の方々からも上記と同じようなニーズの声が上がり、
また、それに応えることをひとつの指針としたARC>Tの活動は、
人が "生きる" に向い合った時、自然にわき起こってきた衝動に即したものだったのだな、と感じました。

アートって、人と人との間に生まれ、人と人とを繋ぐ術なんじゃないかしら。

今回の聴講を通して、
ARC>Tに関わる人や、その人達が集う場 (10-BOX)が、
人の根源的な欲求を満たしてくれる、アートの最先端、発信基地のように私の目には映りました。

まだまだカタチに成りきらないおぼろげなものだけど、
ARC>Tで日々つむがれていることって、
まだ見ぬ「未来の劇場」につながっているように感じます。


大沢佐智子

0 件のコメント:

コメントを投稿