2011年12月7日水曜日

津波にのまれたピアノに会いにいったときのこと






















山形にある東北復興支援機構TRSOで行われていた向井山朋子さんの「夜想曲」
見に行きました、

石巻の湊地区の小学校で津波にのまれ、生命を絶たれた2台のグランドピアノによる
インスタレーション。
ギャラリーは3月の石巻のにおいがかすかにする。
津波でながされたあとのにおい。
足が折れて横たわるピアノ。
泥は表面が乾いて砂になっている。
私は床に膝をついてピアノに顔を突っ込み匂いを嗅いだ。
かすかに<あの時>の匂いがした。

津波に流されたもの、損なわれたもの、瓦礫といわれるそれは
かつてあった日常の欠片。
○ヶ月、○年、○周忌と人はあの時を区切っていく。
元に戻り始めた街のきらびやかな明かり、
復興をうたってブーム化するイベント、
そんな日常の喧噪に埋もれて
<震災>という言葉が終わっていく中で、
無言に<あの時>を伝えるピアノ。

報道や写真では伝えられない真実がここにはありました。

12月5日でこの展示は終わってしまいましたが、
またどこかで再演してほしいと思っています。

川村智美

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