2011年12月30日金曜日

第12回「 スタッフクラブ 21」

12月26日。
東京、ル ・テアトル銀座。

今年で12回目を迎える裏方達(舞台スタッフ)の忘年会にて
ARC>Tへの支援金の贈呈がありました。

スタッフクラブ21が震災復興への応援Tシャツをつくり、全国の裏方たちに協力を呼びかけ、
集まった売上金を支援金として活用しようという意思のもと、
今年6月から動き出した支援活動報告の一環です。

今年は開会の挨拶(照明・沢田祐二氏)から震災のことに触れた運びとなり、
例年に比べると、やや落着いた雰囲気の会だったように感じます。

ARC>Tのこれまでの活動も、大スクリーンへの写真投影を交え紹介されました。

たくさんの人が集まりました。

この日ここに集まった人達と、ARC>T、東北の人達とが、
今後、長く深く繋がっていくことを願う望年会でした。


大沢佐智子

12/28 名取

12月28日。
名取、閖上を自転車でまわりました。
風が強く、つめたかったです。
田畑は、表面を覆っていた草が刈られ、均され、船が数隻おきざらし。
表面は乾燥していました。
たまに土が掘り返された所があり、
その傍を通ると、かすかに、まだ、ヘドロの臭いがしました。
今年5度目の名取。
いろんなものが片付けられていたのだけれど、
5月に初めてこの地を歩いた時の緊張感が呼び起こされました。
大沢佐智子

2011年12月29日木曜日

ミラノつれづれ_11 行く年

国営放送RAI1の今朝のニュースでは、さまざまな分野の今年を振り返る特集が組まれています。
そのなかで、「黙示録から10か月」というタイトルで東北大震災のことが放送されました。











私のつたない語学力で聞き取れたことは、「日本の人は自然災害への備えがしっかりしている」
「あの状況でも人びとは規律正しく、パニックになることはなかった」という賛辞と、
チェルノブイリの惨事を超える「フクシマ」への懸念でした。












私も、出会う人に「日本の、東の、北の地域から来た」と言うと「フクシマは近いのか」「いま状況はどうなのか」と心配されます。

取り急ぎ報告まで。


伊藤みや


2011年12月17日土曜日

多夢多夢舎のみんな(美術のじかん)

12月16日。仙台初雪。
多夢多夢舎「美術のじかん」に行ってきました。
今回も個人個人、それぞれが好きなように「美術のじかん」を楽しみました。

自分で画材・素材を選び、紙に色をのせたり、テープを貼ったり丸めたり。
紙でおりがみをしたり。
27日に予定されている忘年会のカレンダーを描いたり、
そのとき唄う歌の歌詞を紙一面に描いたりする人もいました。

個々の表現に接していると
1人1人とより親しくなれるような感じがします。
面白いです。

みんなの人柄、
そこからにじみ出てくる豊かな世界。
涙がでるほどいとおしいです。


大沢佐智子

2011年12月14日水曜日

ミラノつれづれ_10 冬の星、夏の夢

つい先日、スカラ座のオペラシーズンが華々しく開幕し、たいへんな話題となりました。
その一方で、イタリアで最も権威のある演劇賞「プレミオ・ウブ」の授賞式が12日に行われました。
日本語にしたら「ユビュ賞」ですね。
「ユビュ王」にちなんだ名前を持つこの賞は、批評家フランコ・クワードリ氏により創立され、今年で34年目を迎えます。

会場となったピッコロ劇場は立ち見が出るほどの賑わい。オペラ座とはちがってカジュアルな雰囲気です。

今回の授賞は2010年秋から2011年夏にかけてイタリア国内で上演された舞台作品および演劇祭等の企画が対象となります。
私がお世話になっているエルフォ=プッチーニ劇場製作の「THE HISTORY BOYS」(作:アラン・ベネット)が、30歳以下の若手主演俳優賞、助演女優賞、作品賞の三部門で最優秀賞を受賞しました。

【↑ 8人の主演俳優たち】

【↑演出のブルーニ氏(中央)とデ・カピターニ氏(右端)】

舞台人なら受賞の喜びに飲んだくれたいところですが、翌日は公演初日なのでそうも言ってられません。
この授賞式もゲネプロを終わらせてばたばたと駆けつけたほどですから。

イタリア人はあまり働かないとかしばしば言われますが、少なくとも舞台人はよく働きますよホントに。



こちら、働く代表の裏方さんたち。おつかれさまです!
写真左から音響のルカさん、照明チーフのナンドさん、舞台監督ジャンカルロさん、照明サブのミケーレさんです。
(しかし、「おつかれさま」に相当する言葉がないので、たいへんもどかしい)

と言うわけで、本日「真夏の夜の夢」初日の幕が開きました。めでたいことに満員御礼。
学校の試験にでも出るのかしら、というぐらい学生が詰めかけてました。不思議だ。







カーテンコールでは豪雨のような喝采を浴びて、役者たちはしあわせそうでした。拍手するお客さんもたのしそうでした。

私は、劇中曲の「ラ・ヴィ・アン・ローズ」を思い出しながら、芝居は人生を肯定することなんだろうな、と感じました。
(あ、今回の演出はダークエンドなんですけどね)

この公演は1月22日まで続きます。ミラノへお立ち寄りの際はどうぞご覧くださいますよう。


伊藤みや

2011年12月12日月曜日

わくわくダンス
















昨日、宮城県障害福祉センターですんぷちょ・千田みかささんによる
「わくわくダンス」があり、参加してきました。
障害のある方とそのご家族やヘルパーさんと一緒くたになって
からだを動かしてきました。
自己紹介では名前と自分のマークを決めて、名前を呼び合います。
私は山形が好きなので山マークを両手を広げてつくったところ、
気に入ってもらえ、何度も呼んでくれました。
ストレッチで足の指からほぐし、カポナイエ、こころの隙間を埋めるダンス、
自由ダンスなどをやりました。
Maekというすんぷちょのダンス作品の曲を使って
みなさん、初対面とは思えないほど、打ち解けて一緒に踊り、
大変盛り上がりました。

ダンスが生まれていくところを見ました。

またね、と言ってもらえて、またね、ってハイタッチ。

この「わくわくダンス」は三月まであと4回あります。

今度も楽しみです。

川村智美

2011年12月11日日曜日

【東京・板橋】”SUBTERRANEAN Dialogue” 三角フラスコ×ペピン結構設計「ハウ・アー・ユー」公演中。12/13(火)まで




あの日から今日で9ヶ月です。今日は私の両親の月命日ということになります。
すっかり冬になりました。あの頃、着ていた服をまた着ることも多くなりました。

12/7水から東京に来ています。今回は、池袋から東武東上線で3つ目、大山駅にあるサブテレニアンという劇場の"Dialogue"という企画で、私がプロデューサーをしている三角フラスコが、横浜を拠点に活動しているペピン結構設計さんと一緒に公演をしています。昨日、無事に初日が開けました。

三角フラスコは、今年8月に「INDEPENDET:2ndSeasonSelection / JAPAN TOUR in 仙台」で初演、11月に大阪「INDEPENDENT:11」で再演した瀧原弘子の一人芝居「はなして」を東京に持ってきました。再々演になりますね。

ペピン結構設計さんは、当初構想していた次回作とは別に、急きょ今回の企画のために新作「アマゾン」をクリエーションしてくださりました。ペピンさんから三角フラスコへの手紙のようだな作品に感じています。仙台と横浜、それぞれの地域で製作された2つの作品がひとつの公演になって、皆さんにお届けできるのが、本当に嬉しいです。

ペピン結構設計さんとは、制作の里見くんと、とある制作者向けのワークショップで偶然隣になったことで知り合いになりました。それが、確か2004年のことです。その後、当時の東京国際芸術祭・リージョナルシアターシリーズでペピンさんが上演した「東京の米」を観に行きました。その作品から「物語る力」を強く感じたのを今でも覚えています。

以降、私は一人のファンとしてペピン結構設計というカンパニーを追い続けてきました。「ポエムの獣」「伝説」「蜜の味」「シンデレラ」「トンカツであーる」「お母さんしかいない国」どれも、私にとっては大切な作品たちです。

今回、横浜と仙台という距離をお互いに大切にしながら、こうして2011年最後に一緒に公演をできることは、小さな奇跡だと思っています。いろいろ、本当にいろいろあった私たちが東京の劇場でお待ちしています。

どうか、皆さんに、"あなた"に、お会いできればと思います。

SUBTERRANEAN  Dialogue
三角フラスコ×ペピン結構設計「ハウ・アー・ユー?」
-仙台と横浜、それぞれの物語。2作連続上演-

三角フラスコ「はなして」
作・演出:生田恵 出演:瀧原弘子

ペピン結構設計「アマゾン」
作・演出:石神夏希 出演:下田寛典 角北龍 中澤大輔 吉田能 武井翔子

2011年12月10日(土)~13日(火)

開演時間
10日(土)15:00/19:30
11日(日)15:00
12日(月)15:00◆/19:30
13日(火)15:00◆
※受付開始(入場整理券発行)・当日券販売=各40分前
※開場=各20分前
※上演時間(予定)=約75分/途中休憩あり

会場:サブテレニアン
東京都板橋区氷川町46-4 B1F 080-4205-1050
http://subterranean.jp/

東武東上線「大山駅」北口から徒歩7分(大山駅は池袋駅より3つ目です。)
都営三田線「板橋区役所前駅」から徒歩3分

+++

書き始めたのは、5/7。いろいろあって中断していた、一人芝居の稽古再開初日。一人芝居だっていうのに、森さんがなぜか闖入。タキハラさんと二人で謎のダンスを踊る。それを見て、「はなして」というタイトルが浮かんだ。「書く」 ことがなかなかできなかった私は言葉のカケラをかき集めた。風景と、記憶の断片。そんなものでできている。再演にあたって久しぶりにタキハラさんの声で聞くと、一挙にあの場所まで連れ戻された。癒えない傷を隠す必要はどこにもないんだ。
-生田恵(三角フラスコ)

2月初旬にペピンの公演があったとき、三角フラスコの皆さんが横浜まで来てくれました。私たちはその2ヶ月後、高速バスで仙台へ行きました。森さんが「コンビニでパンが買えるようになった」と話していたのを覚えています。仙台―東京をパンが行き来することにも人間が行き来することにも、等しく感動がありました。その距離を超え今回もやって来た三角フラスコさんを思います。そして 日々行き来するパンのこと、そのリズムのことを。
-石神夏希(ペピン結構設計)

三角フラスコ
1995 年結成。宮城県仙台市を創作拠点として活動。これまで36 本の作品を上演。代表の生田恵がほぼ全ての作品で作・演出を担当。作品に応じて劇場以外に も野外やアートギャラリー、喫茶店、美術館を会場に公演を行う。札幌、東北各 地・東京・大阪など、他地域での公演多数。

ペピン結構設計
1999年結成。BankARTやSTスポットなど横浜で演劇活動を行い、これまで18本の作品を上演。メンバー全員で企画立案を行い、石神夏希が作・演出を担当。日々 の生活から生まれる問題意識を持ち寄り、作品に反映させることをポリシーとし ている。

主催:三角フラスコ・ペピン結構設計 共催:サブテレニアン 

公演の詳細|「すずかけ連絡簿」http://frascoweb.jugem.jp/

--・
森 忠治:chuji mori
プロデューサー/ワークショップデザイナー 

2011年12月8日木曜日

12/7多夢多夢「ダンスのじかん」

今回のダンスのじかんは、彩&ミキのコンビでお送りしました。
なんだか外は寒いのに、部屋の中は熱気で暑いくらいに盛り上がった1時間半。
「選んで選んでミュージック」にて、ノリノリで踊りまくる二人を激写。双子ならではの息の合ったダンスに、みんなも手拍子で答えました。

個人的に、いつも「ひこうき」をのりのりで踊る方が、帰りがけに「さよなら」の声がけと共に握手してきたのがとても感動でした!

ミキ

2011年12月7日水曜日

津波にのまれたピアノに会いにいったときのこと






















山形にある東北復興支援機構TRSOで行われていた向井山朋子さんの「夜想曲」
見に行きました、

石巻の湊地区の小学校で津波にのまれ、生命を絶たれた2台のグランドピアノによる
インスタレーション。
ギャラリーは3月の石巻のにおいがかすかにする。
津波でながされたあとのにおい。
足が折れて横たわるピアノ。
泥は表面が乾いて砂になっている。
私は床に膝をついてピアノに顔を突っ込み匂いを嗅いだ。
かすかに<あの時>の匂いがした。

津波に流されたもの、損なわれたもの、瓦礫といわれるそれは
かつてあった日常の欠片。
○ヶ月、○年、○周忌と人はあの時を区切っていく。
元に戻り始めた街のきらびやかな明かり、
復興をうたってブーム化するイベント、
そんな日常の喧噪に埋もれて
<震災>という言葉が終わっていく中で、
無言に<あの時>を伝えるピアノ。

報道や写真では伝えられない真実がここにはありました。

12月5日でこの展示は終わってしまいましたが、
またどこかで再演してほしいと思っています。

川村智美

2011年12月4日日曜日

文化庁派遣事業(多夢多夢舎にて)

12月3日。
多夢多夢舎での文化庁派遣事業最終回の様子です。(写真:千田優太さん撮影)
1回目事業(11/5) "絵具あそび" で、色の紙つくり。
2回目事業(11/19) "色の紙をビリビリペタペタ"で、きれいな色の段ボール工作。
最後の事業となる今回は、今までに出来上がった色の箱を積重ね天井にまでとどくタワーを作ったり、
大きな色の壁をつなぎ合わせたりして、世界に一つしかない、みんなの秘密基地をつくりました。

秘密基地では、宝探しとお菓子パーティー。

白鳥さんのウクレレ伴奏で、そこにいた全員の誕生日を「Happy Birthday song」でお祝いしたり。
「津軽海峡冬景色」「手紙」「上を向いて歩こう」などを合唱したり。
ひとりひとりが改めて自己紹介しながら、今回いっしょに遊んだことを思い返したり。
とっても素敵な時間を過ごすことができました。

大きな人も小さな人も、みんなで楽しみました。

無限の想像力と、人と人の豊かな関わり合いに触れた今回の事業。
私にとっても貴重な経験となりました。

参加してくれたみんな、ありがとう!!
感謝!


大沢佐智子

2011年12月3日土曜日

ミラノつれづれ_9 踊るなんとか見るなんとか


 

11月末、リナーテ空港近くの巨大展示場で開催された ダンス博覧会「MILANO DANZA EXPO」を覗いてきました。
会場の遠さと大きさは幕張メッセみたいなイメージでしょうかね。

たくさんのブースが並び、稽古着や衣装、靴、なぜか床材の販売から、ワークショップ、写真展、映像インスタレーションまで、ダンスに関するあれこれが一堂に会する様子はなかなかに壮観です。















各ブースでは、クラシックバレエ、モダンバレエ、アフリカン、ベリーダンス、フラメンコ、ヒップホップ、エアリアルダンスなどさまざまな舞踊を体験できます。

サブステージではお教室に通う子どもたちの発表会が行われていました。
参加者がそこらへんで着替え始めてしまう、ゆる〜い雰囲気のイベントです。


メインステージでは、第1回国際振付家コンクールやプロのカンパニーによる公演が行われました。
話によると、ダンスについてミラノはまだ保守的(?)な土地柄で、コンテンポラリーダンスはトリノあたりの方が盛んなようです。
だからこそ、主催者はこのイベントをミラノで開催してダンスを啓発していこうとしている感じでした。

実はこれまで「ミラノはビジネスのまちだから、なんか文化的にいまいちなんだよね〜」と言う声を何度か聞いたことがあります。
(それは仙台についても…)

いまいち足りないなら、創って行くだけですよね。たぶんね。
ということで、
世界のどこにいても自分のおどりを踊れ!という締めでいかがでしょう。


伊藤みや